Kの思索(付録と補遺)

日々の思索です。Twitterはこちら。https://mobile.twitter.com/k0sisaku インスタ→https://www.instagram.com/yushak_satuei

是枝監督がカンヌ最高賞!取るべくして取った天才~ Kの思索(付録と補遺)vol.47~

f:id:yushak:20180522213326j:plain

 

this.kiji.is


 万引き家族パルムドールを受賞した是枝監督は「海街ダイアリー」「歩いても 歩いても」「そして父になるあたりを観てるけど、全部素晴らしい。というか、是枝監督は多少映画好きであれば日本の誇る天才監督として良く知られているのだが、一般的な知名度はまだまだ微妙なように思う。このパルムドール受賞で、ようやくこれまでの作品も観られるようになるだろう。

www.youtube.com

www.youtube.com

www.youtube.com


 ただ是枝監督の映画は結構能動的に観るのが大事だ。ボケーっと見てるとボケーっと見て「なんか淡々としてるな」で終わってしまう。繰り返すけれど、能動的に観るのはポイントです。聞けば聞くほど沢山答えてくれるタイプの作り手なので。


 ほかに是枝作品の特徴といえばやはり「家族」の描き方だと思う。何らかの問題を抱えた家族を描いて、同時に日本の社会問題の痛いところをグリグリと指摘しつつ、けれど優しい視点があるような。この視点から行けば、「万引きで生計を立てる家族」というのは実に是枝監督らしいテーマだなぁと思う。


 しかし万引き家族の演者、錚々たる実力者しかいない。松岡茉優樹木希林安藤さくらリリーフランキー松岡茉優さんなら「勝手に震えてろ」樹木希林さんなら正に是枝監督の「歩いても歩いても」安藤さくらさんなら「百円の恋」リリーフランキーさんなら「凶悪」辺りがオススメです。

www.youtube.com

www.youtube.com

www.youtube.com

 

 

forbesjapan.com


 このブログでも既に何度か書いているが、現状の学校教育の形は時代遅れも甚だしい。今の「画一的で無個性な量産型」を育成する教育スタイルは、成長期の日本では都合の良い形ではあった。親の世代はその恩恵に預かったので、いい学校を卒業すればそのままいい就職先が見つかり、良い車やマイホームを建てるというような、今の若者からすると夢を見るような「普通の生活」を手に入れることが出来た。それは一見すると個人個人の努力が実った形に見えるかもしれないが、実際のところ「普通の生活」の実現を支えていたのは「成長期であるという社会構造」であった。


 しかし日本はもはやこれから縮小していく。悲観論ではなく、現実的にそうなのだ。どのようなベストな手段を用いたとしても、人口減少対策は手遅れである。応急手段として「外国人実習生」を受け入れてはいるものの、今の奴隷のような扱われ方のままでは愛想を尽かして出て行く。そもそも日本はもはや外国人にとって、働く場所として魅力ある国ではなくなっている。


 さて人手不足が進行すると、それを解消する為にまず働き手の給料が上がる。すき家のワンオペ事件が分かりやすい例だ。しかしいくら給料を上げたところで一人にかかる負荷があまりに大きいと、その人も辞めていく。このようにして、得たい生産性に対して人が対処できる限界を既に超えており、このような意味で人手不足が解消しない場合は、いよいよ経営者は重い腰を上げて機械を導入することになる。人が代替される場合にはこの2ステップが踏まれる。日本の現状は正にこのようなものだ。


 これからの社会では量産型の普通人は機械やAIに置き換えられていくが、勿論「貴方の仕事は今日からAIに置きかわります!よってクビ!」なんてことにはならない。現実的には、物価の上昇に対して給料がさほど上がらず、生活が苦しくなって、それでも生産性の向上を迫られ、会社の全体的な人間関係もギスギスしてくると、普通の人は転職を考える。そしてスキルのないまま市場に放り出されると、いつの間にか自分の生活が豊かになるような働く場所がAIスキルの持ち主に一掃されている。そんなところだろう。

 

 ※ちなみにAIに置き換わる優先順位が高い職業は、おおよそ以下の二つの要素で決まるだろう。①人がやるよりAIがやる方が生産性が高く、②かつ今その仕事をしている人に対して払っている給料が高い。


 ただしこの話は、AIに置き換わっても問題ないような量産型の例だ。よってこれからの日本では、自分が量産型ではないことに自信を持っているほうが有利である。ただ、今なお学校という「村社会」はそのようなマイノリティを排斥する傾向にあるし、またメディアの役割として「量産型であることが優秀である」と洗脳してくる。


 だから、自分がマイノリティであることを自覚していて学校に馴染めず、学習をしないことに不安があるならスタディサプリ」などで十分代替は効く。そこで効率的に学習し、メルカリの「teacha」などのスキルシェアサービスで自分の知りたいスキルを学べば良い。そうやってガンガン自分を突出させて行けば良い。


 むしろこれから学校という場は、勉強よりも「様々なパターンを持つ他人と強制的に関わる」という社会学習的な役割に特化していくかもしれない。理不尽を知ることだったり、人間関係の答えのなさを学ぶ場としては今なお学校は優秀である。ただしそれで人生の全てが潰されてしまってはスパルタに過ぎるというものだ。

 

 END.