Kの思索(付録と補遺)

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岡崎体育 埼玉スーパーアリーナ「BASIN TECHNO」参戦~ Kの思索(付録と補遺)vol.81〜

 2019年6月9日、岡崎体育埼玉スーパーアリーナライブ「BASIN TECHNO」に参戦した。

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 岡崎体育は7年前から、30歳までに埼玉スーパーアリーナでライブすると宣言してきた。当時、観客は数十人も集まれば上出来というところであった。それが7年後、まさに30歳ちょうどにして、18000人の観客を集め、目標を実現することになった。ソロアーティストとして、バンドなしで埼玉スーパーアリーナライブを実現したのは岡崎体育が初である。


 2016年の4月に「MUSIC VIDEO」が公開され、これが彼の起爆剤となった。僕が岡崎体育を知ったのはここからだ。ある意味でミーハーながらも、僕は彼を天才であると評した。それは発想の面白さもさることながら、それらの曲のメロディセンスの良さ、初期の曲である「鴨川等間隔」や「スペツナズ」などの真面目な曲に現れた音楽家としての実力を評してのことであった。


 そのようにしてすっかりファンになった僕は、2017年の10月にライブハウスツアーに参加した。感想を以下の記事に書いている。

yushak.hatenablog.com


 そこからちょうど1年後の2018年10月、岡崎体育は埼玉スーパーアリーナでのライブ開催の決定をラジオで発表した。


 しかしながら、2018年の12月に開かれたホールツアーの札幌公演に参加した際は、2階席まで埋まることは無かった。この「ワクワクホリデーホール」の10倍以上のキャパを誇る埼玉スーパーアリーナ公演が、たった半年後に控えているにも関わらずである。その時にも記事を書いている。

yushak.hatenablog.com


 だが蓋を開けてみると17000人分のチケットが速攻で完売、その後、機材席をS席として開放し、結果として18000人の観客が集まることになった。

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 Explainという重要な曲がある。これは彼が2016年に発表したアルバム「BASIN TECHNO」の1曲目に収録されている。売れてるJ-POPにありがちな展開を鋭い視点でコミカルに説明する曲だが、そのメロディセンスは岡崎体育史上最高傑作と言っても過言ではない。

 

 この曲のなかで「埼玉スーパーアリーナで口パクしてやる」という想いが語られている。彼にとって口パクするというのは、ただ単に「おふざけしてやる」という意味ではなく、反抗の精神がそのような形で代替的に表現されているのだ。


 バンドでなくともやれる。顔がイケメン出なくてもやれる。コミカルな曲でバズって芸人的なイメージがついててもやれる。楽器が弾けなくてもやれる。実家暮らしのおじさんでもやれる。彼の存在そのものが、既存の売れてる音楽家へのアンチテーゼの具現化である。


 だからExplainという曲は、2016年にはもはや彼の中でのテーマ曲になっていたと思われる。ライブのセトリでも一番最後など、重要な場所で披露されていた。


 そして今回のライブでもやはり一番最後に歌われた。だが埼玉スーパーアリーナで口パクが実現された以上、もうこの曲が歌われることはない。歌う必要がない。今までのように目標ではなく、別れの意味を持ったExplainに、もはや笑いはなく涙だけがあった。


 Explainの歌詞に「胸のBASIN TECHNOの文字は消えることはない」という一節がある。彼のライブファッションとしてのパーカーには、いつも胸にBASIN TECHNOの文字が刻まれていた。直訳で「盆地テクノ」京都府宇治市という盆地にある実家から作り続けられた曲が、18000人を集めた。


 だからこそ今回の埼玉スーパーアリーナライブのタイトルは「BASIN TECHNO」が相応しかった。開幕、垂れ幕の後ろに巨大な影として現れた岡崎体育、その胸にゆっくりと、しかし電撃の様に「BASIN TECHNO」の文字が刻まれていく。存在の証明。反逆のテーマ。その実現がなされた瞬間であった。

 

 そして上記ブログでも推し続けた「スペツナズ」の初披露、そして「鴨川等間隔」も「The Abyss」も、埼玉スーパーアリーナで最高の完成をみた。さらに素晴らしかったのは「エクレア」である。この日のためにあったかのような歌詞に多くの観客がタオルで目をぬぐっていた。


 ファンは彼の夢を追ってきた。岡崎体育が夢を追うと同時に、ファンも夢を見続けてきた。僕のブログにもファンとしての歴史が刻まれていたし、またここに刻まれる。大きな夢も、現実になれば現実で、過ぎてしまえば歴史の一点だ。そこに僕は儚さと美しさを感じる。夢と現実は共にあることはできない。だから美しき人生には常に夢が伴うべきだ。夢は見続ける必要があるのだ。


 2020年2月11日エディオンアリーナ大阪。別名「大阪府立体育館」にて、岡崎体育は再びワンマンライブを開催する。

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END.