Kの思索(付録と補遺)

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ロジックカルトに負けるな!アート脳たれ!~ Kの思索(付録と補遺)vol.53~

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 小利口な人ほど、仕事がロジックで進むと思いがちだ。つまり、1+1と入力すれば2が出力されるように、論理的に正しい事の足し算をすれば、ビジネス的に正しい解が出力されると思っている。しかし、残念ながらこのような考えが通用しないのが仕事のアート的側面なのだ。


 なぜ実験や理論が、論理的に正しいことを積み重ねると正しい解が出力されるか。これは究極的に言えば、事象の相互作用的要因を徹底的に排除しているからに尽きる。つまり、摩擦は無いものとしたり、多体系の運動を考えずにまずは2体系の運動を考えたり、超高真空を実現したりだ。結局これは、「今考えたい目的」の本質をあぶり出すため…つまり仮説と検証をするために、その他の現実的な要素の相互作用を排除しているのである。


 これに対しビジネスは、あらゆる相互作用の権化のような存在である。常に想定外が起きるし「あらゆる想定外を想定せよ」とまで言われる世界である。物理的な用語で表せば、これはカオス系なのである。つまり、高いところから落とされた葉っぱが結局どこに落ちるか予測できないように、また2週間後の天気予報が完全に予測不可能になるのと同様に、仕事は相互作用が多すぎてカオス系なのである。


 このような状況で、大局的に役立つのはロジックでは無い。ロジックは確かに目の前の小局的で事務的な仕事を間違いなく淡々とこなすことには役立つだろうが、しかしそれだけを盲目に信仰することはロジックカルトなのである。なぜ人間の脳は左脳だけでなく右脳が必要だったのかを考えてみるべきだ。


 ビジネスにおいて世界一最先端を行っているシリコンバレーで、成功した企業の特徴を調べると、ある共通した特徴が現れたという。その特徴とは「まずアート的に実現したい目的をかかげ、そこからロジックで実際的なものとして仕事を補完していく」という仕事様式であった。


 これとは逆に「まずロジックありきで何ができるか」を考える企業…例えば「予算がこれこれあるので、行動できる選択肢はこれこれです、なので実現目的はこの辺りに設定するべきでしょう」というような仕事様式を取る企業は、大抵の場合成功出来なかったのである。


 もちろん開発屋や研究職であればかなりロジックが重要であろうが、経営者はおそらくアート的な脳の持ち主の方が強い。そしてこれは偏見かもしれないが、ガリ勉君よりも遊び人やギャンブラーの方が仕事ができるケースが多いのも上記してきたことに由来しているのではないかと思う。「遊び」や「ギャンブル」・・・他に「恋愛」などもそうだろうが、それらは相互作用が多すぎるカオス系であり、遊ぶことが上手い人はそれに適応するアート脳が鍛えられまくっているので、仕事が出来るということだ。


 では、アート脳を鍛えるにはどうすれば良いか。これは恐らく「行動する」ということに尽きる。行動すると、状況が変化する。問題も起こってくるだろう。そしてその解決のためにまた行動する。そうすると、ロジック的に対応できる小局的要素は数え切れないほど場合分けされて拡散し、結局はランダム性の荒波の中に身を置いて、非常に臨機応変に、フレキシブルに脳をプレーさせなければならなくなる。ここにおいてアート脳が活躍する。


 これに対して小利口は行動せずひたすら検討する。言うだけは言い、言うだけなのである。そういう人間に限って、改善に走り実際に行動するものを嘲笑う。落合陽一はこれを「コスト最適化された生存戦略と言った。誠に的を射た表現である。


 そして小利口は「今日もよく検討を詰めた。次の会議で、今回上がった新たな検討事案を更に詰めていくことにしよう」といって、結局「決断」がいつまでも先延ばしになる。こんなことをしているから、行動に次ぐ行動、決断に次ぐ決断をしまくる企業に先を越されるのである。


 堀江貴文「小利口は馬鹿に勝てない」「ビジネスに重要なのは革新的アイデアでも頭の良さでもない、圧倒的行動力である」と言った。


孫正義「検討を5割で挑むのは愚かだ。しかし9割では手遅れである。7割で勝負をかけよ」と言った。


スティーブ・ジョブズ「ハングリーであれ、愚かであれ」と言った。


 彼らのいうことは本質的なところで共通している。カオス系の荒波の中で血だらけになりながら泳いだ彼らには、仕事で成功するための真理が見えているのだと思う。

 

 END.