Kの思索(付録と補遺)

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マックの復活劇をファンの実感から語りまくる!~ Kの思索(付録と補遺)vol.48~

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r.nikkei.com


 期限切れ鶏肉の不正問題で信用をなくし、業績が落ち込んでいたマックが復活した。失わられた信用は「ごめんなさい、もう絶対にしないと誓うので戻ってきてください」などという「お願い」では解決しないのが現実のシビアなところだ。ビジネスの世界では、信用を落としていても客が足を運びたくなるような効果的なマーケティングをしなければならない。


 僕はマックが昔から好きで、日常的に訪れているのだが、その肌感としてやはり最近のマックは優秀だなぁと思うところがいくつかある。


 まずはコーヒーだ。コーヒーが本当に美味しくなったと思う。セブンが始めたコンビニコーヒー戦争によって、美味しいコーヒーがチェーン店でも安く手軽に飲めるようになった。もはや喫茶店で入れられたコーヒーと、チェーン店のコーヒーの味の違いが明確に区別できる人は殆どいないのではないか。それくらいにレベルが上がっていると思う。そしてマックはこのコーヒー戦争の勝者といっても過言ではないと思う。セットメニューのドリンクは必ずホットコーヒーにするくらいだ。(ちなみに少し薄味でアメリカンコーヒーっぽいのが僕の性に合っているというのもある。スタバのコーヒーなどは確かに香り高いのだが、僕的には濃くて少しガツンときすぎる。)


 そして商品開発の方向性をがっつり系に振り切った。グランをレギュラー化したり、グランドビックマックをやってみたり、夜マックを始めたりなど、食った後に客が多少の「罪悪感」を覚えるような商品をバババッと展開した。個人的にも、マックに期待してたのはこの罪悪感を覚えるほどのがっつり系商品である。健康志向など、そもそもマックらしくないのだ。いまはちょうど「レギュラーオーディション」という形で三種類の新商品が売られているが、これらも全てがっつり系である。


 中でも、「たまごダブルマック」が個人的に物凄く良く出来ているなと思う。このたまごダブルマックには一切野菜が入っていない。たまごの白身の水分と、野菜の水分が合わないのだろう。この二つを合わせて入れると、水分が多すぎてベチャベチャになるのは想像がつく。


こういう視点はマックでは共通している。つまり、同様にたまごを用いる「ソーセージエッグマフィン」も、「月見バーガー」も野菜は入っていない。このような観察眼で商品を見るとある程度の法則性がある。つまり定番的に売れている商品を少しだけ変えて改善を試み、新たな定番の商品を生み出そうとしているのだ。たまごダブルマックもパーツで分解してみれば、月見バーガーにパティを一枚追加して、ソースをオーロラソースから粗挽きソースに変えているくらいである。

 

 レギュラーオーディションの他方「てりやきチキンフィレオ」も、言うまでもなくチキンフィレオとてりやきバーガーの合わせ技である。もう一つの他方「マックリブ」は、殆ど「マックポークだし、さらに言えば「マックポーク」はほぼ完全に「生姜焼きバーガー」であった。(これらは殆ど同じ商品なのに、新商品ほど値段が高いのがポイントである)。


 このような新商品対決という戦略を取ることによって、まずは全種類を買ってみたいと思わせる。そしてそれらは実際には過去商品の改良なのだから、商品開発には大したコストをかけなくてもすむ。しかもかつてそれらは「100円」や「200円」で売り出していたものなのだ。そしてその値段でも客が買うようにきちんと美味しい。どれだけマックのマーケティングが巧みに、そしてスムーズに客単価を上げる戦略をとったかが分かるだろう。お手本のようである。


 しかしながら、日本マックはこれからが大変だ。V字回復といっても、要は信用失墜によるマイナスをゼロに戻しただけだ。ゼロからプラスに持っていく上で立ちはだかる、日本マックのこれからのマーケティング根本問題は人口減少だ。小売である限り、そもそもの客の総人口が減る場合、取れる戦略は二つだろう。一つは「客単価の値上げ」、もう一つは「利用機会の増加」だ。


 前者は競合他社の同様商品の値段に相場があるうえ、当然値上げするとそれだけ客の目がシビアになるので難易度は高い。しかし後者は配送サービスによって解決されるかもしれない。つまり、いつでもどこでも手軽にマックを食べれるようにして、客の商品購入機会を増やすのだ。この話はマックだけに終わらない。あらゆる小売にとって人口減少の問題は共通であるからだ。よって殆どの大手チェーン店は配送サービスマーケティングに動き出すだろう。それが、近々訪れる自動運転車社会を見越した日本マーケティングの大局的方向なのだと確信している。

 

 END.