Kの思索(付録と補遺)

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仮想通貨の大局的な未来を考える〜Kの思索(付録と補遺)vol.39〜

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 ちょっと前に以下の記事で仮想通貨のこれからについて言及した

 

yushak.hatenablog.com

 

 つまり仮想通貨は明らかにバブルだったのであり、投機目的で売り買いされていた。上記の記事のビットコインの暴落を見ても明らかだろう。

 

 では仮想通貨はこれから消え去る運命なのだろうか?いや、そんなことはないだろう。なぜなら仮想通貨は法定通貨よりも利便性が高く「安全」であるからだ。

 

 僕が仮想通貨について「安全」というのは、仮想通貨自体がハッキングされたことがないという事実に基づく。マウントゴックスやコインチェックの事件ではあくまでも取引所のセキュリティの脆弱性ゆえに、「取引所への」侵入を許したのである。仮想通貨自体ではない。

 

 仮想通貨自体は、ブロックチェーンという技術によって非常に高いセキュリティ性を持っている。ブロックチェーン技術について詳しくはググって頂きたいが、要はメルカリやAirbubなどのC to C取引を思い浮かべて貰えばよいかと思う。顧客同士が相互に監視し合うことによって、中央に管理者が居なくとも統計的に正確な評価が成され(非中央集権的という)、信用が確定する。つまりメルカリで言えば、誠実に良い取引をした人は統計的にきちんと評価されるが、そうでなければ悪い評価をつけられて市場から退場せざるを得ない。仮想通貨のブロックチェーン技術もこれと似ている。仮想通貨が非中央集権的であると言われるのはこの為である。また「ズル」や「抜け駆け」をしようものなら分裂してしまうことも出来る。


 例えばビットコインが分裂してビットコインキャッシュが生まれた。これは中国が、自国の誇る大電力を利用してビットコインのマイニング優位を勝ち取ろうとしたことによるためだ(マイニングについてはググっていただきたい)。しかしそれに嫌気がさした仮想通貨市場は、ビットコインを分裂させ、ビットコインキャッシュを新たに生み出すことで上記の問題を解決した。例えるなら切っても切っても増殖するスライムのようなものだ。

 

 つまり「この仮想通貨はフェアでない」と非中央集権的に相場が判断したとたん、その仮想通貨は価値を落とすことになる。だから常にフェアであらざるを得ない


 仮想通貨におけるブロックチェーン技術についてざっくりとした例え話をしたが、要はこのような優れた技術がこれからの社会で使われない訳がないと思うのだ。仮想通貨はその代表的なものになるはずである。歴史を見ても明らかなように、市場はより良いテクノロジーを好む。仮想通貨が法定通貨よりもより良いテクノロジーである以上、未来の一般的な通貨は仮想通貨であると思う。


 これに反対して、今の法定通貨がそんな簡単に駆逐されるはずはないと思うだろうか?しかし法定通貨の歴史だって色々と変化してきたのである。最古の歴史では貝が貨幣として機能していた。「購買」や「賃貸」と言った金にまつわる漢字に貝が使われているのはその為だ。また江戸時代では米が価値であった。銀貨としての貨幣もあった(「銀座」は銀貨を製造していたのがその名の由来である)。他にも、金の重さがそのまま貨幣的価値として用いられていた。これがまさに金貨である。


 さて、歴史として最も象徴的なのは1971年のニクソンショックだろう。それまでは法定通貨の価値は金(きん)に担保されていた。しかしニクソン大統領が、この法定通貨の価値の裏付けを取っ払ったのである。つまり、法定通貨の価値の裏付けが何もなくなったわけで、そんな紙幣は「ただの紙」になってしまうのではないか!


 当然ながらこのニクソンショックによって相場は大混乱に見舞われたが、結果として法定通貨の価値を担保したのは「国家の信用」であった。その代償として法定通貨の価値が「固定相場制」から「変動相場制」へ移行することとなったが、「紙幣が紙切れになる」なんてことは起こらなかったのだ。


 僕は、仮想通貨でも同じようなことが起こるのではないかと考えている。しかし、相場にある程度通じている人ほど仮想通貨に対してこう言う。「仮想通貨にはファンダメンタルズ(担保となる価値)が無いので、どこまで暴落するか分からない。もしかしたら0円になる可能性だってある。」


 確かにおっしゃる通りである。しかしこれはニクソンショックの時と全く同じことの再現ではないだろうか?仮想通貨にも経済圏が出来てそれが信用になるのではないだろうか。


 またこうも言われる。「仮想通貨は投機の対象でこれからの通貨としては機能しない。」


 しかし今の法定通貨相場だって無数の投機家がしのぎを削っているわけで、本質は変わらない。違うとすればボラティリティ(相場の変動度)が違うだけだ。確かにボラティリティが大きいと通貨としては扱いづらい。とはいえ仮想通貨がその価値を信用されてくれば、ボラティリティもいずれ低く落ち着くと思われる。


 このような考察を踏まえると、やはり仮想通貨が現在の法定通貨に取って代わる可能性は非常に大きいと思うのである。では、仮想通貨の信用となるであろう「経済圏」は、どのようにして形成されるのだろうか?これに関しては大局的な予想しか出来ないが、少なくとも「利便性」は重要なキーワードになると思う。どれだけ仮想通貨の種類があろうと、経済圏を形作るには「その仮想通貨をみんなが使っている」ということがマストなのであり、「みんなが使う」ためには利便性が必要であり、利便性があればそれがまたしても経済圏を確立する要因になるだろうからだ。


 上記の利便性というキーワードを踏まえて、僕は仮想通貨の信用獲得パターンを大きく分けて以下の3つだと予想する

 

 1.じわじわと利便性ある仮想通貨が確定されていくパターン。
 経済圏が徐々に形成されるパターンとも言える。最も考えられそうなパターンである。例えばビットコインなどの有名な仮想通貨が買われ、それによって企業や国がビットコインを使える経済圏を創出し、それによりまたその仮想通貨が買われるといったものである。このパターンの場合は、経済圏を作った仮想通貨以外は不要なものとされ価値が下がる。よってそのような仮想通貨は徐々に淘汰されていくだろう。結局いくつかの主要な仮想通貨が残るだけだ。勿論、せっかく形成された経済圏を揺るがすような要因があれば再び分裂することも考えられるが…。

 

 2.すでに世界的に巨大な経済圏を作っている超大企業(アップルやグーグルやアマゾンやフェイスブック)がタッグを組んで、共通の仮想通貨を使用したり発行したりするパターン。
 1と違って、自然に仮想通貨経済圏が作られるのを待つのではなく、企業から経済圏の形成をアプローチするのである。前述したように仮想通貨経済圏を作るのは利便性が非常に重要なので、すでに人間の生活に深く根を指している上記のようなシリコンバレーの大企業などが共通の仮想通貨を使用したり発行したりすれば、その仮想通貨経済圏が急激に形成されると考えられる。ただしこの場合、企業が国から何らかの強い抵抗に会うことが想像に難くない。超大企業経済圏 VS 国となるかもしれない。とはいえ、すでにシリコンバレーの企業達の持つ資産は国家予算レベルなのだから、国への対抗勢力としての力を備えてしまっているのだ。

 

 3.銀行が国と組んで仮想通貨を発行するパターン。
 2と本質的には同じだが、経済圏の創造主体が国と密接に関わるパターンである。この場合は、1ポイント≒1円を担保するような仮想通貨経済圏が作られるだろう。(世界的に共通なマネーが生まれるというわけではないので、1や2のパターンよりは面白くない。)

 また何故1ポイント=1円ではなく、≒かというと、1ポイント=1円にしてしまっては電子マネーと同様の扱いになり、法律的に100万円以上の移動が出来なくなるからだ。これでは利便性が良くないし、金額が小さすぎて経済圏が作れないだろう。だから≒なのである。ただしこのことによって、仮想通貨を発行する銀行は、必然的に仮想通貨の相場変動を抑制するだけの流動資産を持たなければならないだろう。もしかしたらそのような利便性の邪魔をする法律の方が変わるかもしれない。ちなみにこのパターンでは、仮想通貨と電子マネーの違いは、チャージが要るか要らないかくらいのものだ。

 

 さてこのような大局的な予測をしてみた上で、利便性・経済圏の創造という観点からは、マイナーなコインの大半が生き残るとは思えないのである。つまり、仮想通貨投資において「リスク分散」といって様々なオルトコインに金をばら撒くのは、本質的になんらのリスク分散にもなっていないのではないかと思うのである。いやむしろリスクを増やしているのではないか。これが株式投資と仮想通貨投資の根本的に異なる部分なのではないか。(株式投資においては、多種の株に投資することでリスク分散に直結することが歴史的に証明されている。それの究極系が今話題のインデックスファンド投資である。詳しくは以下の記事に書いた。)

 

yushak.hatenablog.com

 

 この違いはつまるところ、仮想通貨における価値が「たった数個の巨大な経済圏における利便性を持った価格取引機能であること」に対し、株における価値が「会社の数だけ社会に多様性ある利益をもたらすこと」から生じていると考えられる。その価値の所在が、数個か、多様か、ということによるのだ。

 

 ということで、どちらかといえば、いまある仮想通貨それぞれの特性を十分に理解して、その上で自らの考える「将来的に活用される期待値が非常に高いと思われる仮想通貨」を極限まで絞り込んで投資した方が良いのではないかと思うのである。これを踏まえた上で、現状仮想通貨の投資先として相応しいのはビットコインリップルイーサリアムくらいではないだろうか。


 さて長々と仮想通貨について自分なりに考えて考察してみたが、この大局的な予測は大きくは外れないだろうと思う。とはいえ仮想通貨について本当に知識を深めたければ実際に買って持ってみるのが一番良い。その投資金額は高いほど良い勉強代になるだろう。毎日変動する価格にヒヤヒヤしながら、だがしかしそのヒヤヒヤによって自発的に勉強するからだ。ただしもし多少儲けが出ても、簡単には利益確定はしない方が良いだろう。現状では仮想通貨の利益は雑所得に当たるため、税金がべらぼうに高いからだ。確定申告も面倒だ。それよりは、仮想通貨経済圏が作られるのをゆったりと待ち、いずれその中を高額な税金無しで自由に泳ぎ回れる未来に備えるのが賢明だろう。

 

 END.