Kの思索(付録と補遺)

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株式投資の王道を解説その2 「個別株投資」について 〜Kの思索(付録と補遺)vol.14〜

 

 今回の記事では「投資」とは何かを定義し「投機」との違いを明らかにします。そして、投資スタイルで最もスタンダードな「個別株投資」について、王道なやり方を説明します。

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 前回の記事を読んでない方はまずこちらからどうぞ。

yushak.hatenablog.com

 

 前回の記事では「投機」について「短期間で株式を売買すること」と説明していました。では具体的に、短期間とはどの程度のことを指すのでしょう?1時間、1日?1カ月?

 

 いえいえ、そんな期間ではまだまだ全然短期間ですよ。1年以内に売買してしまうのであれば、十分短期間であり「投機」とみなします。3年でも短期間と言いたいくらいです。

 

 つまるところ、株式をうかつに売買している時点で「投機」だと言いたいのです。基本的に、「投資」において株は買うものであっても売るものではないと思ってください。買ったら、売らないこと。出来る限り一生、買った株を売らないこと。たとえ値段が上がっても売らず、下がっても売らないこと。あらゆる欲求を我慢して、とにかく持ち続けること。この「超長期」における株の保有スタイルだけを「投資」と定義します。

 

 この超長期における株の保有スタイルだけが、機関投資家に勝つ唯一の方法です。なぜなら、彼らがこのスタイルを取ることは構造的に困難だからです。まず彼らは信用取引というものを行います。これは自分の信用でもって、自分の持っているお金よりも大きなお金を取引することが出来ますが、売買期間が決まっています。つまり、どんなに株価が下がっていようが、売買機関の終わりが来たら売らなければならないということです。株価が上がるまで待ってから売ろう、なんて悠長なことは彼らには出来ないのです。そしてその取引のたびに手数料と税金が無駄に発生します。

 

 また彼ら機関投資家は会社です。会社である限り、別の会社と取引があります。例えば明らかに体質の良くない企業であっても、それが後に大きな破滅を迎えることが財務諸表から明らかな会社であっても、そこに金の取引が生まれているなら、優遇しないわけにはいきません。

 

 つまり、機関投資家は、クソ株と分かっていても、それをあの手この手で別の投資家に推さなければならないことがあるのです。また買いたくないのに買う必要があるかもしれません。このビジネスシステムから生まれる理想からの乖離、歪み、捻じれは大きなハンデです。そして世の中の会社のほとんどはクソ株です。

 

 つまり、株を「超長期保有できる」個人投資家だけが唯一、上記の枷に縛られた機関投資家に勝てる、「新雪の野」を持っているということになります。

 

 ※漫画「喧嘩稼業」で一番好きなシーンを貼っておきますね。

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 とはいえ、株を「超長期間保有する」と言っても、今の時代、超大企業でも10年後にはどうなっているかわかりません。JALですら一度破綻してますし、東電だって3.11で虫の息、シャープも買収されるわ東芝は不適切会計だわ神戸製鋼は不正検査・・・そのため、少なくとも超長期保有に値する企業をしっかり見極める必要があります。

 

 このように自ら投資に値する企業をいくつか見つけ、それぞれに個別に投資することから、この投資方法を「個別株投資」と呼びます。ではどのような会社であれば個別株投資に値するのでしょうか?

 

 これはやはり歴史を参考にするのが一番よいでしょう。歴史は人間の失敗の積み重ですからね。例えばバブルの歴史をみても、本質的には同じ「根拠なき熱狂」という理由で繰り返されていることが分かります。人間は学習しないですねー・・・欲望にはなかなか勝てないみたいです。そして「投機」した個人投資家がみな破滅していることも分かります。

 

 個別株投資の歴史は、以下のような基準を満たす企業であれば、短期的な売買を必要とすることなく、一定の利益を生み出す期待値が高いと証明しています。

 

  1.  出来る限り大企業であること
  2.  過去10年間継続的に配当があること
  3.  過去10年間赤字決算が無いこと
  4.  1株あたりの利益が10年間で1/3以上伸びていること
  5.  PER×PBR<22.5(22.5を超えてはならず、22.5に近いほど良い)
  6.  自己資本比率が50%を超えていること
  7.  流動資産が流動負債の最低2倍以上であること。

 

 そして、これらを全て満たす優良企業の数はめちゃくちゃ少なくなります。ぶっちゃけ探すのすげー大変です。まぁこれらのデータは就活の時に皆さんある程度参考にしたであろう「四季報」で見れますからね。やってやれないことはない。

 

 まずは自分の知っている好きな企業が上記の条件に当てはまっているか見てみましょう。僕の場合は、例えば「養命酒」が運よくこれに適合してました(おじいちゃんか)。もっと詳しくみようと思えば企業が「投資家情報」としてホームページに公開している「IR情報」を見てみましょう。ウザったいくらいに小さい文字でビッシリ細かくデータが見れますよ。

 

 ちなみに僕はこの条件を満たすように3年前からポートフォリオ(個別株の組み合わせのこと。つまり自分の信じる最強手札。)を組んで投資してみた結果、平均で22%プラスになりました。年利7.3%くらいなので、銀行で預金するより7000倍良いのではないでしょうか(ゆうちょ銀行の通常貯金利回りは0.001%)。

 

 ただ注意していただきたいのは、僕の件だってアベノミクスでたまたまタイミングが良かったのかもしれないということです。3年という短い期間では、まだコイン投げで運よく表が出ただけかもしれないということです。ここから数年後利回りはマイナスになっているかもしれません。ただ、歴史は、長く株を持ち続けた人が最後には勝つというのを証明しています。世の中には絶対はないです。だからこそ確率で判断して動くのがとても重要だと思うのです。

 

※漫画「喧嘩商売」での主人公の思想を貼っておきますね。

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 そして、個別株を売る唯一の基準は、企業が赤字決算をだした時です。個別株投資の基準3にもありましたね。赤字決算は経営が非常に追い込まれているということを意味しており、取れる手段も限られます。予算の全く無い開発で成果を出せるかというのを考えてみましょう。ぶっちゃけ無理ですよね?友情・努力のような感情論で企業は勝利出来るもんじゃないです。赤字決算のでた企業は上記したように何らかの不正が発覚したり、バタバタと分裂したり、最悪「投機家」のおもちゃにされた挙句に倒産します。

 

 しかも赤字決算が出ると、大抵の企業は配当を無くします。超長期保有スタイルの一番の強みは定期的な配当収入を得られるというところにあります。それが無くなるとなると非常に厳しいです。なお、上記してきた「アレ」な大企業はみな赤字決算を出しています。

 

 ではそのように自分の持つ個別株の一つが赤字決算を出したとしても、できる限り損失を減らすためにはどうしたらよいでしょう?答えは「個別株の数を増やす」ことです。

 

 例えば単純な例として、ある島に傘を売っている店と、屋外観光をしている店があるとします。この島に雨が降れば、傘を売っている店は儲かりますし、屋外観光は売れないでしょう。逆にスカッと晴れた日は屋外観光が売れ、傘は売れないでしょう。どっちかの株だけを持っていると危険です。もしあなたが傘屋の株だけを持っていたとして、長い間雨が降らなかったらどうしますか?このような万が一に備えて、屋外観光の株も持っておいたほうが良いでしょう。

 

 このように個別株投資のリスクは、ポートフォリオを多種の業種で組むことによって抑えられます。だから食べ物が好きだからと言って日清やカルビーなどの食品系業種だけでポートフォリオを組んではいけません。ゲームが好きだからと言って任天堂コナミなどのゲーム業種だけでポートフォリオを組んではいけません。製造業、化学系、食品、金融、バイオ等々、幅広い分野で投資しましょう。

 

 さて、この時点で「やっぱりめんどくさいな(怒)」と思っている人もいるでしょう。何よりこの個別株投資、ひとつ大きなハードルがあります。頭の良い方ならとっくに気づいているかもしれませんが・・・。

 

 というわけで、次回の記事ではこの個別株投資を超える、さらに良い、しかも簡単でハードルの低い投資方法を紹介しようと思います。

 

その3へ続きます↓

yushak.hatenablog.com