Kの思索(付録と補遺)

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【良いASMRとは何か?】10年以上ASMRのファンをやってきた私がASMRの歴史とオススメの作り手を紹介する~ Kの思索(付録と補遺)vol.124~

10年以上前から、ASMRを推してきた私である。

今となっては、たとえば芸人チョコレートプラネットが全然ASMRを活かさないASMR動画をギャグとして上げたり、またアマチュアでなくプロ声優を起用した作品が同人界隈で販売されるほど、メジャーなジャンルになった。

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ASMRの代表例に耳かきがあるが、適当にどの動画を漁って聴いても、本当に耳かきをされている様な触覚さえ感じるほどに、ハイレベルであることがわかるだろう。

だが10年前当時のそれは、当然ながら今ほどにハイレベルなものではなかった。それだけでなく、バイノーラル風ではあったが、厳密にはバイノーラルですらなかったのである。

私がASMRの導入を受けたのは「秋葉よいこ」さんという同人声優であった。

この方は今となっては伝説的な同人声優であり、当時のDLsiteランキングを見ても、この方をASMRというジャンルの先駆けの一人と数えて語弊はない。

それとほぼ時を同じくして、アダルト界隈で伊ヶ崎綾香さんという同人声優が現れる。

アダルトというのが、どんなジャンルにせよその分野を一気に広める効果があるのは否定できないとはいえ、彼女の圧倒的な研究・働き量がASMRという業界を大幅に発展させたことは間違いない。

彼女が偉大だったのは、「音を研究したこと」である。耳かき音を初めとして、どんな音が人間を気持ちよくさせるのかということを研究し、大量の作品にそれを盛り込んだ。

しかもその研究音の使用を(引用を明示することを条件に)配布した。

このことがASMR界隈全体の音質向上に大きな影響を与えたのである。

ちなみに伊ヶ崎綾香さんは今でも現役バリバリであり、古参であれば彼女を知らない人はいないほどである。

そのあと非アダルトの分野で「とみみ」さんという方が現れ(現在は引退)、数多くの同人声優を起用しつつ、今聴いても劣らない作品を無料で大量にニコニコ動画で公開し、売る作品はどれも数千ダウンロードを記録した。

このことで一気にASMRというものがアンダーグラウンドなジャンルからメジャーなものになったのである。

今ではASMRというジャンルが海外まで及んでいるし、くりかえすようだが音質は10年前と比較にならない。

トップの有名な作り手の方なら、みなKU100と呼ばれるバイノーラルマイクを所持しているか、KU100が置いてあるスタジオで収録することも多いようである。なおこのKU100の値段は、その名前のとおり約100万円する。

ASMRに関しても、時代の変遷には驚くばかりである。今までVtuberに一切興味のなかった私だが、「周防パトラ」というVtuberがとんでもないレベルのASMR配信をしているのを聴いて、大ファンになった。

さて、よいASMRとは何かということに関して、個人的な意見を多少語ってみたい。

ASMRは、基本的に音の気持ちよさを体感するジャンルであると思っている。

とはいえこの音の気持ちよさというのは非常に複雑であり、一括りに語ることが出来ない。

例えば先にあげたように、耳かきの音がASMRでは最もメジャーである。

しかし実際に聴いてみれば、たしかに気持ちの良い音ではある一方で、そこに加えて多少のくすぐったさ、ゾクゾクした心地の存在することが分かるであろう。

この心地が「気持ちよさ」に寄与しているのは疑いようのないことである一方で、「くすぐったみ」というものは普通、リラックスとは相反するものである。

ここに良いASMRを作る上での難しさがある。

すなわち「気持ちの良い音」であっても、それが「リラックスできて入眠できるような音」であるとは限らないのだ。

簡単に言えば、あまりにくすぐったい音すぎてもリラックス出来ないし、かといって、くすぐったさの無い音は気持ち良くないのであって、要するにこのバランスを極めることがASMRの本質ということである。

またASMRには音声、すなわち話し声が入ることが多い。この話し声もASMRにとっては非常に重要であり、癒される声質、美しい声質を持っている方の配信や作品が有名になるのは偶然でない。

その恵まれた声質を持って、基本的には聴き手が入眠できるように囁くのであるが、ここに良いASMRを考える上で必ず着目しなければならない点がある。

入眠するためには、脳の活動が穏やかになる必要がある。しかし普通、人間の脳は何かを語りかけられると活動が活発化する。

だから、ASMRにおいて「囁きかける」という行為は、ともすれば脳を活発化させかねず、よって入眠を妨げる要因にもなりかねないのである。

雑談耳かき配信が、たとえ囁き声であっても眠りにくいことがあるのは、上記の理由による。

つまり、語りかけられたり、質問されたりすると、自然に聴き手の脳は活発化し、何事かを考えてしまうのである。

このことを逆に言えば、よいASMRにおける囁きというのは、「人間が考える余地を持たない囁き」であると結論される。

「では、どのような囁きが上記の条件に当てはまるのか?」ということを具体的に挙げるならば、例えば以下のものである。

・擬音(ゴシゴシ、カリカリ、スリスリ、など)

・単なる状況説明(〜をマッサージ、〜を拭き取って…など)

・聴き手の心情描写(気持ちいいね、眠いね、など)

・慰みのある語りかけ(いつでも寝ていいからね、リラックスしてね、大丈夫だよ、偉い偉い、など)

例えば先にあげたVtuberである周防パトラが凄いのは、上記の脳を活発化させない囁き条件を見抜いているとしか思えず、しかもそれを、たとえ3時間に渡る長時間配信であったとしても、徹底して貫き続けているところである。

長々と書いてきたが、この記事を通じて、ASMRの魅力にハマる読者が増えてくれれば、嬉しく思う。

最後に、私のオススメするASMRの作り手の方々の動画を紹介して、締めくくることにしたい。

(なお順序に優劣はない。すべて、著者が第一級と思う作り手の方々である。)

 
【周防パトラ】

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【浅見ゆい】

 

www.youtube.com

 

【高倉むき】

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【伊ヶ崎綾香】

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【かの仔】

www.youtube.com

 

【秋葉よいこ】

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