戦略のニュースと映画～ Kの思索(付録と補遺)vol.44～
1.最近見た映画のレビュー
評価：８０点
銃規制法案を通すために極めて戦略的なロビー活動をする女の物語。
膨大で高速な会話のやり取りがあり、しかもその中にアメリカンジョークがボンボン放り込まれて愉快なことこのうえない。あの速度でジョークを飛ばし合えるというのは頭の良さの現れだ。とくに仕事においてジョークが重要とされるのは、それが頭の回転の速さと、思考の柔軟性と、メタ思考できる能力があることを意味するからだ。
さてこの映画では戦略というものの本質が描かれており、それは「予見」と「嘘」に他ならない。ただしこれらの戦略を使うことで、多くの場合は倫理や道徳に反することになるため、時として多くの敵を作りかねないし、最も身近にいる人を裏切ることにもなるかもしれない。故にそれらを恐れるならば最も重要になるのが「グレーゾーン」な訳で、これを間違えた戦略家は孤立することになるだろう。
このグレーゾーンが、戦略の強者ほど分からなくなっているというのがこの物語のキモである。ともすれば孤立を恐れず、グレーゾーンの解釈が限りなく広い人間こそが、最も柔軟で多様な戦略を用いることのできる最強の戦略家だということになる。
また、映画の最後、女神としての彼女の目線はある人物に向けられるが、この時の彼女の表情をどう解釈するかを言語化すると、物語をみるときの解像度が鍛えられるはずだ。
2.最近のニュースにコメント
当然の流れだろう。そもそも、歴史を遡って見ても、人と人同士の直接的な戦いというのは無くなってきた。古代の戦闘では石、中世から近世では刀での斬り合いがあり、弓などを使って戦いもしたが、いつしかそれが銃に取って代わり、現代では戦闘機における爆撃が主である。
また核が開発されたことにより、明らかに戦争そのものが減った。これはつまり、核戦争を始めることによる打撃が双方の国で大き過ぎて、そもそも戦争するメリットが大幅に減ることによる。だから現代において「強い国」と呼ばれるのは、まず核武力を持つ国なのである。北朝鮮の選んだ選択と集中はここにおいて完璧に正しかった。何もかもが圧倒的にアメリカに及ばない北朝鮮が、核を保有したことで直接の対話交渉まで持っていったのだ。
さて本題に戻ると、要は直接戦闘することなく、互いの武力の想定だけで、戦争するまでもなく勝敗や犠牲が見えてくる時代なのだ。それらを合理的に換算して、本当に戦争を始めるメリットがあるのかどうか判断がつくようになってきたのだ。これがAIによってさらに合理化されていくだろう。つまり、攻めるにしても地形指示や物資補給ルートなど、戦争で最重要とされる要素がどれだけAIで的確に算出されるかによって勝敗が決まるし、そもそも互いの持つ武力から統計的演算をして勝敗が確率としてはじき出されるだろう。
剣の達人同士は、斬り合わずともお互いが構えた状態の所作で勝敗が直観出来てしまうというが、まさにAIが戦争においてそのような役目を果たすことになるだろう。
セブン、ネットコンビニを展開へ スマホで注文→自宅で受け取り 北海道から全国へ - 産経ニュース
これからくる自動運転の時代に先手を打ったということだろう。まだ人が配達するためそれなりの宅配料になるだろうが、それでも時間を買うために使う人は多いと思う。自動運転になれば宅配料は殆どなくなっていくだろう。そこから真価を発揮しそうだ。
似たようなサービスにはUber eatsなどがあるものの、やはり田舎では利用できる店がまだ少なすぎて使い物にならない。セブンは全国的にどこにでもあるし、北海道からはじまって全国展開するらしいから非常に楽しみである。スーパーはこれからセブンに駆逐されていくのではないか。
最近すごく相撲にハマっていて、ようやく日本人の横綱が出てきたと思って喜んでいたものの…。
横綱に降格はない。戦績が横綱に相応しくないと判断されれば即引退ということになる。相撲にとって横綱とは別格の存在なのだ。神であり、尊いのである。だからこそ、横綱は土俵の上で見苦しい戦いを続けてはならず、成果を残すか引退するかという選択肢しかない。横綱が最初のうちから連敗したりすると、よく休場扱いになるのはそのためだ。しかし7場所連続休場となると、いよいよ進退が決することであろう。
END.
