Kの思索(付録と補遺)

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ジャッジアイズ 死神の遺言(キムタクが如く)レビュー~ Kの思索(付録と補遺)vol.70~

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  この間、ジャッジアイズ~死神の遺言~(通称「キムタクが如く」、以下、キムタクが如く)をクリアした。我々の中に植え付けられた「キムタク」というキャラクターがあるがゆえに、このゲームはプレイ中ずっと、微笑むことができるのである。

 


  キムタクといえば言わずと知れた国民的アイドルである。容姿は端麗で、何をやらせても人並み以上にこなせてしまう。いわば「イケてる男」「トップスター」である事を、自らの使命として生まれてきたような方である。

 


  しかしそんなキムタクも、この間のTV番組「モニタリング」で、人並みに悩んでいることを打ち明けた。自分の演技について「何をやってもキムタクだ」と叩かれている事に、少なからず、思うところがある様子であった。

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  だが、まさにこの事が、キムタクが如くでは存分に活かされたのである。すなわち「何をやってもキムタク」という事は、裏を返せば「圧倒的キムタクというキャラクター」が確立しているという事である。

 


  キムタクという国民的アイドルは、あらゆるドラマでヒーローを演じた。だから我々には、キムタクがヒーローである事が根付いている。だからキムタクがそこに立つというそれだけで、主人公感が半端ないのである。

 


  そんな国民的主人公が操作出来るとなると、ただ街を散策してるだけでも面白い。あのキムタクがめっちゃ人に肩をぶつけまくってるとか、あのキムタクが釣り堀に膝まで入るか?とか、キムタクなら絶対にしない行為を、思わずやってしまいたくなる。

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キムタクin釣り堀


  その辺りのことは、製作陣も織り込み済みである。というか、「キムタクという素材で遊んじゃお」という下心が見えまくっている。製作陣がキャッキャしながら作ってる所が眼に浮かぶ。

 


  例えばストーリーの序盤、何故か風俗へキムタクが潜入しなければならなくなり、初めてなので流れが分からず戸惑うキムタクが描かれたりする。

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嬢を待つキムタク


  また逃亡犯を追いかける際に、ひたすら「ちょ、待てよ!」を連呼したりする。その反対に、明らかに「ちょ、待てよ!」というべきシーンで、「ちょ…」しか言わなかったりする(プレイヤーはとてもモヤモヤする)。

 


  さらに女の子とツーショットを取るときに変顔が出来たりする。潜入操作になれば、ドラキュラ伯爵のコスプレのような、明らかに場違いな格好で変装できたりする。これらは、製作陣がキムタクで遊んでいる証拠ではないか。

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  このように、我々の中にキムタクというブランドが根付いてるからこそ、キムタクが如くは常に微笑ましい。だが、やはり国民的アイドルを使ったおふざけで終わってはいけない。肝心のストーリーはどうだったのか。

 


  僕は龍が如くシリーズの0と2をプレイ済みである。どちらも面白かった。だが、やはりシリーズ最高傑作と呼ばれている0は、格別の面白さであった。今でも、龍が如く0は、生涯ベスト級に上げても良いゲームだと思っている。

 


  今回のキムタクが如くは、その龍が如く0を製作したスタッフ陣で創られたそうだ。その事もあってか、ストーリーは非常に良く出来ている。逆転裁判のように、自らの推理で謎が明らかになっていく様が気持ちよい。同時に、よくこのストーリーを構築したなぁと思うのだ。正直、龍が如く0レベルの作り込みと言って良い。

 


  加えて「ただ頭の良いストーリー」になっていないのが良い。龍が如くシリーズは、やはり少しばかり合理を度外視してでも、漢気溢れる展開や、「そんなのありかよ」みたいな、多少笑えるほどの興奮を作るべきであり、今回のキムタクが如くはそれを成立させていた。警察官に囲まれても、あとで絶対的なキムタク側の正義が証明されるのであれば、ひとまずその場は、警察官や警備員を机や椅子でボコボコにしていいのである。

 


  このようにして、キムタクが如くへの製作陣への熱量が伝わってくる。ただただ「龍が如くの外伝でも作っとく?」というような、軽い気持ちで作られた作品では決して無い。「この一作、この一作をキチンと作品として成立させるのだ」、そういう熱い気持ちがなければ、ここまでのクオリティにはなっていなかったであろう。

 


  ということで、非常におススメの一本である。メインストーリーをクリアするだけなら、およそ30時間程度だろう。とはいえサブイベントも、それぞれにきちんとストーリーがあり、謎があるので、ただのおつかいとして退屈することもない。

 


  加えて麻雀やカジノ、ダーツ、シューティング、ピンボール、バッティングセンター、格闘ゲーム、レーシング等々のサブゲームも盛りだくさんであり、ハマる人はずっと神室町で遊んでいることだろう。

 


  という事で、龍が如くシリーズが好きな人にはもちろん、初めて龍が如く作品をやる人にも最高の導入であろう。そして、キムタクが如くが楽しかったという方は、次に是非、龍が如く0をプレイして頂きたい。絶対に楽しめるはずだ。

 


  END.